「台湾とウクライナ 挑戦する権威主義」(読売国際会議)

2023年1月16日「台湾とウクライナ 挑戦する権威主義(読売国際会議)」 第一部「今そこにある紛争の危機(台湾とウクライナ)」 パネリスト マイケル・マクフォール(スタンフォード大学教授) オリアナ・マストロ(スタンフォード大学フリーマン・スポグリ…

日本の近代思想

1 伝統思想と西洋思想の葛藤 近世と近代の連続性 荻生徂徠 朱子学の徳治主義を批判し、政治と道徳を分離 →近代的な政治意識の発生 本居宣長 「もののあわれ」という心情的な動きを肯定的に取り上げる →封建道徳から人間性を解放 安藤昌益 封建制度を全面的…

近代日本の超国家主義

「超国家主義」 大正から昭和にかけての右翼思想のキーワード 『超国家主義』橋川文三 超国家主義の主要人物が網羅、多種多様な思想 朝日平吾=テロル思想 田中智学=日蓮主義 倉田百三=宗教的ヒューマニズム 北一輝=国家社会主義 大川周明=アジア主義 保…

『近代日本の右翼思想』片山杜秀 保守と右翼

保守と右翼の違い 保守=現在を尊重しながら、過去から汲めるものを汲み、未来のイメージから貰えるものを貰って、急進的に暴力的にならずに漸進的に改革を進める 右翼=失われた過去に立脚して現在に異議申し立てをする 日本近代右翼思想の思想的混乱 「天…

朝日平吾

家族的国家観 真に頼れる者として天皇を見出す 「日本人はみな、天皇の子であり、ひとつの大きな家族である」 日露戦争後の社会が共同性を喪失していったことへの怒り 「だが現実はそうなっていない!」 日本人が不幸な理由 天皇と国民の間を遮り、父親が子…

井上日召

「普遍・絶対・唯一者」への宗教的関心を維持 キリスト教→禅→日蓮宗 伝統的倫理(武士道・国民道徳)ではなく宗教的契機による行動 ①超越的なものを媒介にアノミーを乗り越えようとする =大正風の求道精神 ※大正風=明治期には当たり前だった伝統的規範や共…

職分論とイエ思想

町人の思想・農民の思想へのアプローチ 社会の成熟(近世の歴史的特質) →町人・農民の思想(庶民思想)の形成 庶民思想とは ①思想家の出自が庶民である ②思想内容が庶民の思想的自覚を直接反映し、生業に従事する庶民の社会的存在を積極的に肯定すること (…

近世的公儀理念の形成

中世国家の主宰=「治天」(天皇家の家長) ↓ 足利義満以降、公家の機能の多くを武家が吸収 「室町殿」(足利将軍家の家長)を中心に公家と武家が穏やかに連合する政権が国家支配の中核へ ↓ 下剋上の進行に伴い、従来の支配の枠組みの有効性が低下 各地の戦…

日本の近世思想

1 近世社会の特質 世俗的な秩序化 宗教 世俗の秩序化の進展 →宗教が世俗の生活によって意義づけられる 宗教 地上の権力や権威に相対化させる契機 一向一揆、法華一揆、キリシタン一揆 ↑徹底的に壊滅=近世の統一 信長、秀吉、家康の自己神格化 宗教政策 寺…

浅見絅斎

『靖献遺言』 中国の忠臣義士の行動について記した書物 正統の王朝に忠義を尽くし、敵対者には徹底的に抵抗した人物たち 忠義の対象は正統性の有無だけで決まり、自分の利害はもちろん、その反抗が世の中のためになるかどうかも全く考慮しない ・屈原 ・諸葛…

山崎闇斎

崎門学の創始者 闇斎の提唱した朱子学を、崎門学または闇斎学という。 湯武放伐を否定 『湯武革命論』 殷の湯王は夏の傑王を放ち、周の武王は殷の紂王を伐ったことは是か非か? ※中国の儒家も結論を出せなかった 明確に否定する 臣下が主君を殺すこと(乱臣…

荻生徂徠

「学問は歴史に極まり候」(『徂徠先生答問書』) 「聖人」とは 堯・舜・禹・湯・文・武といった古代中国の建国の王(先王)という歴史的存在 「道」とは 普遍性の代名詞 「先王」がこの人間世界を万全に営むために作った、「礼楽刑政」といった具体的な文物…

朱子学

朱子学以前は僧侶が儒教を研究 戦国武士道 情緒規範→不安定 徳川家康「安定的な規範道徳を確立しなければ」 儒教(朱子学)の理論を導入 身分社会 湯武放伐の肯定

聖徳太子

和の精神 仏教、儒教、法家の影響がみられる 「和」 ※『論語』からの引用 【原文】有子曰、礼之用和為貴、先王之道斯為美、小大由之、有所不行、知和而和、不以礼節之、亦不可行也。 【書き下し文】有子曰く、 『礼の用は和を貴しと為す。先王の道も斯れを美…

日本思想史における「神話」

「神話」の機能 物事の起源や来歴を語り現実を根拠づける 個人の経験を超えた事象を説明する 世界や人間の社会、そして自己のアイデンティティを規定する 歴史に見た「神話」 古代の神話がそのまま享受されてきたのではない 現実の側の歴史に応じて、変化を…

丸山眞男

『日本政治思想史研究』(1952) 徳川時代の思想史の展開について 近世儒教の発展における徂徠学の特質並にその国学との関連 近世日本思想における「自然」と「作為」→制度観の対立 国民主義の「前期的」形成 徳川封建社会を支配していた朱子学的思惟様式を…

小林秀雄

関東大震災後に知的空間へ登場 ※和辻・津田・村岡などによって日本に「思想史」という学問が確立しようとしていた時期 近代西洋に端を発する科学文化の圧倒的な影響の中で日本における思想的営為のあり方を真剣に模索 丸山眞男の近代日本における思想史的方…

西田幾多郎

純粋経験 自他の区別がなく、直接的・具体的な経験(主客未分な状態) =真の実在 ※西洋哲学 世界を主観と客観、個体と普遍のように相反する2つに分けて考える二元論 絶対無 すべての形あるものを生じさせる根源的存在 形をもたない純粋な作用(→場所の論理…

吉田静政

家族主義的国家主義 よく親和した家族の延長線上に美しき家族国家の実現を理想とする 特殊即普遍主義 多即一主義 多が一に収斂してゆく 多=国民 一=天皇(最高の倫理道徳の充溢した人間の本質) ※一に吸収されることはない 同円異中心説 同円 特殊に見える…

和辻哲郎

二つの顔を持つ思想家 ①「近代」主義者 国民国家の擁護 個人主義を否定し、国家への奉仕を要請する 戦争の流れに同調する ②反「近代」の哲学者 『倫理学』『風土』 人間存在の時間性を重視したハイデガーを相手どる 人間存在の空間性を重視 近代的原理の解体…

村岡典嗣

『本居宣長』 「平田篤胤の神学における耶蘇教の影響」 平田国学におけるキリスト教の影響 国学に関する戦前の優れた業績と戦後の不当な冷遇 国学に言及を憚る戦後の思想風土

津田左右吉

記紀批判 厳密な文献批判的研究 戦後の日本古代史学の画期的な「共有財産」となる 津田自身の尊皇心がその貫徹を促進した面と促進した面がある 中国古典研究 津田のナショナリズムによる歪み 『文学に現はれたる我が国民思想の研究』 「我が国文学の上に現は…

国際政治のマクロ分析

学会的な研究=ミクロ分析 小さな範囲に対象を限定する 精緻な仮説を提示する 新しい概念枠組みや因果関係を発見すると評価される 「ムービング・ターゲットを追うな」 学会で成功するための秘訣 論文にしやすい対象が分析される 「死体」を撃っている状態 …

『現代ロシアの軍事戦略』小泉悠 ざっくりまとめ

現代ロシアの軍事戦略 (ちくま新書) 作者:小泉悠 筑摩書房 Amazon 軍事戦略の読み解き方 軍事行動=思想×能力 思想 現状認識 対応策 能力 実際の軍事行動 チェチェン、ジョージア、シリア、クリミア、リビア等の地域紛争 軍事演習 大国間の軍事衝突に対する…

ウクライナ危機を見る複数の眼<アフリカ>(2022.4.7)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。 ロシアへの非難声明 ケニア、ガーナ、ナイジェリア アフリカ連合(AU) 2022.2.24 3/2国連総会 アフリカ諸国の対応が別れる ロシアとの関係強化 エ…

ウクライナ危機を見る複数の目〈中国〉(2022/4/13)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。 中国外交の原則 国家目標:2049年(中華人民共和国成立100周年)にアメリカに追いつき追い越す GDPは2030年代に追いつく 長い米中対立の中でロシ…

ウクライナ危機を見る複数の眼<中東>(2022/4/6)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。 中東主要国の色分けとウクライナ侵攻避難決議の投票 主要な親米勢力 非産油国 イスラエル 賛成 安保理決議の共同提案国(80カ国)にならなかっ…

小泉悠×池内恵×千々和泰明「戦争の終わらせ方」 #国際政治ch 119(2022/4/23)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで (中公新書) 作者:千々和泰明 中央公論新社 Amazon 「将来の危険」と「現在の犠牲」…

おすすめチャンネルまとめ

素人ですので「これが無いのはおかしい」とかあると思いますが、ご容赦ください。適宜追加していきたいと思います。 〈お気に入り〉 国際政治チャンネル 篠田英朗さん、細谷雄一さん、池内恵さんを中心に信頼できる専門家を呼び議論をする。リラックスした雰…

本ブログの目的

本ブログは国際政治、歴史、思想等に関心のある一般人が良いと思った動画、論稿、書籍を紹介するブログです。 最近、YouTube等でも専門家の高度な知見を得ることができるようになっています。一方で情報が多すぎて何が正しいのか見分けることが困難になって…