『現代ロシアの軍事戦略』小泉悠 ざっくりまとめ
軍事戦略の読み解き方
軍事行動=思想×能力
ロシアの情勢認識
ロシアの「勢力圏」の縮小
- 第一次東方拡大(1999年:チェコ、ハンガリー、ポーランド)
- 第二次東方拡大(2004年:バルト三国、ブルガリア、ルーマニア、スロヴァキア、スロベニア)※この頃のプーチン政権は米国との協力路線で国力と国際的地位の回復を目指していた
- 2009年:アルバニア、クロアチア 2017年:モンテネグロ 2020年:北マケドニア
- 西側の意図
- ロシアの認識
- 冷戦崩壊→ロシアの「戦略縦深」を失う
- NATOの拡大はロシアにとって「国家安全保障上の脅威」
経済力、技術力、軍事力の劣勢
ロシアの情勢認識の基礎概念
ロシアは「大国」であり「勢力圏」を持つべきだが、別の「大国(アメリカ、NATO)」が「プロシキ(民主化運動、テロ組織)」を用いてロシアの「勢力圏」の拡大を妨害きてくる。現在は軍事上劣勢のため「ハイブリッド戦争」「限定行動戦略」「損害限定戦略」「エスカレーション抑止」等の全面戦争にならない手段で対応しなければならない。
「勢力圏」 『「帝国」ロシアの地政学』小泉悠
東欧や旧ソ連諸国にはロシアが政治的影響力を発揮しなければならない
ロシアに都合の悪いことはさせない「消極的な勢力圏」
「大国(デルジャーヴァ)」
他国の作る秩序に従うのではなく、自らの秩序を作り出すことのできる国
「限定行動戦略」
ウクライナ、シリアへの介入
軍事的手段が中心、大規模な戦争にならない
大国間戦争に収斂する「対テロ戦争」
テロ組織=大国の「手先(プロキシ)」 代理戦争論
テロ組織との戦い→背後にいる大国との大規模戦争にエスカレートしうる
巡航ミサイル、精密誘導兵器、核兵器などテロ組織が保有していないであろう武器への対応が想定される
「損害限定」戦略
あらゆる手段で敵の戦力発揮を妨害する
重層化された防空アセット、短距離・中距離・長距離の火力、電子戦能力、情報戦能力、対宇宙作戦能力
「地域的核抑止」戦略
対衛星攻撃(ASAT)
「エスカレーション抑止」
限定的な核攻撃
長距離PGMを用いた「警告射撃」
戦闘停止の強要、第三国の介入を抑止