『近代日本の右翼思想』片山杜秀 保守と右翼

保守と右翼の違い

保守=現在を尊重しながら、過去から汲めるものを汲み、未来のイメージから貰えるものを貰って、急進的に暴力的にならずに漸進的に改革を進める

右翼=失われた過去に立脚して現在に異議申し立てをする

                                           

日本近代右翼思想の思想的混乱

天皇」の存在と結びつく右翼

農の司祭としての天皇 究極の歌人としての天皇

「好ましからざる現在」の代表である天皇が「好ましい過去」の代表者でもある

→右翼思想の混乱

天皇から離れ、過去と現在をばっさり区別する右翼

=理論的にあり得るが登場しなかった

天皇から切り離された過去のイメージを探すことはかなり難しい

過去への憧憬抱きながらも、過去の代表者でありつつ現代の代表者でもある天皇に導かれ、ねじれて現在にのめり込み、現在を礼賛して終わるという性向を持つ右翼思想

天皇自身が復古主義的な革命のブレーキとなる

 

保守主義と現在至上主義

              過去への反動を求める右翼が現在を礼賛する

                            →保守中道に合流?

                            そうとは言えない

              ①現在への嫌悪

              ②過去(天皇)への憧れ

              ③天皇が存在する現在を悪くないと考える

              ④むしろ天皇が現前していることの素晴らしさを感じる

              ⑤現在を絶対化し、漸進的な改革すら否定=現在至上主義

保守主義とは異なる思想へ