ウクライナ危機を見る複数の目〈中国〉(2022/4/13)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。

 

中国外交の原則

  • 国家目標:2049年中華人民共和国成立100周年)にアメリカに追いつき追い越す
    • GDPは2030年代に追いつく
    • 長い米中対立の中でロシアは重要なパートナー
  • 国連、国際法への一定の支持
    • 主権の尊重、領土の完全性という国際原則は否定しない 
    • 中国なりの解釈・修正をする
  • 米国中心の安全保障ネットワークは否定
    • NATO東方拡大という立場はロシアと一致する
  • 同盟国を持たない独立自主外交
    • 全てパートナーシップ
    • ロシアは同盟国にはならないが最重要のパートナー国
  • 中露vs西側という構図は避けたい
    • 西側と相互依存する経済
    • 競争と協調の中で発展を続けたい
    • ヨーロッパの自律的な外交を支持する
  • 「発展途上大国」
    • 発展途上国の代表という意識
    • 先進国中心のルールを変えたい
  • ウクライナとの良好な関係

米国との長期的な対立の中でロシアは重要なパートナーだが、運命共同体にはならない

新冷戦の構図を避けるため西側諸国にも開発途上国にもできるだけ支持をしてもらいたい

「八方美人外交」

秋の第20回党大会

  • 習近平の任期延長・当主席への就任が懸かっている
    • 異例中の異例の人事
  • とにかく失敗はできない
    • リスクを避ける

中国国内の報道

  • ニュースは全て共産党宣伝部が作る
    • ニュース=国内向けの宣伝
    • ロシア支持が基本
      • 「侵攻」という言葉は使われない、ロシアは何度も警告をしている、ウクライナが警告を無視している、ゼレンスキーがプーチンのメンツを潰した
      • 大国の言うことは尊重されなければならない
    • ブチャの残虐行為は報道されている
      • プーチン政権と距離を取るための世論づくり?
    • 侵攻の開始から徐々にロシア寄りから中立
    • 中国語のみの言論空間と他言語を含む言論空間の乖離 一定の多様性がある
      • 大部分の人民は中国語のみ=宣伝部の影響が濃い
      • 一部の知識人はプーチン批判の声明を発表している
        • 厳しい言論統制の中、自分の身を危険に晒している

東アジアへのインパク

  • 中国の経済力の大きさ
    • 中国を貿易相手のTOP3に持つ国は世界の9割以上
  • 台湾問題との関わり
    • ウクライナ主権国家だが台湾は国内問題
    • ウクライナ危機に乗じて台湾に侵攻する
    • 台湾侵攻の能力は高めている
      • 西側からのミサイル攻撃+東側からの上陸作戦
    • 2019年から台湾に関する言葉のレベルは抑えている
    • 直接の軍事侵攻ではなく、情報戦を中心とした間接的な浸透が理想
      • 2014年クリミア型の侵攻を目指している
      • 戦わずして降伏させる
      • 台湾の意志を挫くために武力の増強を行なっている
    • ウクライナの現状
      • ロシア軍の苦戦→安易な軍事侵攻はできない
      • 西側の経済制裁の効果を観察している
      • NATOEUウクライナの加盟のハードルを下げている→緊張が高まった際に台湾の国家承認という可能性がある

日本の立場

  • 中露双方の隣国
    • 冷戦時との違い
      • 中露双方が軍事大国
      • 中ソ対立の可能性は低い

中国の長期的な対露外交

  • ロシアは乗り越えるべき存在
  • ロシアを怒らせないように勢力圏へ徐々に浸透していく

厄介な先輩の機嫌をとりながら上手に引退させる