国際政治のマクロ分析

学会的な研究=ミクロ分析

小さな範囲に対象を限定する

精緻な仮説を提示する

新しい概念枠組みや因果関係を発見すると評価される

「ムービング・ターゲットを追うな」

学会で成功するための秘訣

論文にしやすい対象が分析される 「死体」を撃っている状態

活力が失われる、社会的意義が薄くなる

 

多くの人が関心を持つのは「ムービング・ターゲット」

 

シンクタンク、政策研究

「デリバレイティブ・プランニング」より「アダプティング・プランニング」が大事

変化する目標に対して適切な道具を用いて分析する

「当たらないかもしれないから、撃たない」では仕事にならない

 

フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』

冷戦崩壊→アメリカ単独覇権、リベラル・デモクラシーの拡大

 

サミュエル・ハンチントン文明の衝突

民族・宗教に根ざした対立→地域紛争

 

G・ジョン・アイケンベリー

リベラルな多国間主義、国際協調

 

イアン・ブレマー

覇権なき世界秩序

 

ジョセフ・ナイ

ソフト・パワーによるアメリカの覇権の維持

 

ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン

成長の限界←収奪的な政治制度/包括的な政治制度→経済発展

 

ウォルター・ラッセル・ミード『神と黄金』

覇権国(アングロサクソン)の信念

海洋国家による海洋覇権→グローバルな資本主義、民主的な資本主義

 

イギリス:老いたる「賢人」としての忠告

ポール・ケネディ『大国の興亡』

ニアル・ファーガソン『帝国』『文明』

 

フランス:アングロサクソンとは異なる近代の推進者としての自負

エマニュエル・トッド『帝国以後』

トマ・ピケティ『21世紀の資本

 

非西欧

ファリード・ザカリア『アメリカ後の世界』

移民国家アメリカが新興国の活力を取り込むことで覇権を維持

 

 

『現代ロシアの軍事戦略』小泉悠 ざっくりまとめ

軍事戦略の読み解き方

軍事行動=思想×能力

  • 思想
    • 現状認識
    • 対応策
  • 能力

 

ロシアの情勢認識

ロシアの「勢力圏」の縮小

経済力、技術力、軍事力の劣勢

  • ロシア軍90万人 vs NATO欧州加盟国185万人(NATO全加盟国326万人)
  • 技術力、経済力も劣勢

 

ロシアの情勢認識の基礎概念

ロシアは「大国」であり「勢力圏」を持つべきだが、別の「大国(アメリカ、NATO)」が「プロシキ民主化運動、テロ組織)」を用いてロシアの「勢力圏」の拡大を妨害きてくる。現在は軍事上劣勢のため「ハイブリッド戦争」「限定行動戦略」「損害限定戦略」「エスカレーション抑止」等の全面戦争にならない手段で対応しなければならない。

「勢力圏」 『「帝国」ロシアの地政学』小泉悠

東欧や旧ソ連諸国にはロシアが政治的影響力を発揮しなければならない

ロシアに都合の悪いことはさせない「消極的な勢力圏」

 

「大国(デルジャーヴァ)」

他国の作る秩序に従うのではなく、自らの秩序を作り出すことのできる国

NATOグローバル化への反発の源泉となる思考

 

「限定行動戦略」

ウクライナ、シリアへの介入

軍事的手段が中心、大規模な戦争にならない

 

大国間戦争に収斂する「対テロ戦争

テロ組織=大国の「手先(プロキシ)」 代理戦争論

テロ組織との戦い→背後にいる大国との大規模戦争にエスカレートしうる

巡航ミサイル、精密誘導兵器、核兵器などテロ組織が保有していないであろう武器への対応が想定される

 

「損害限定」戦略

あらゆる手段で敵の戦力発揮を妨害する

重層化された防空アセット、短距離・中距離・長距離の火力、電子戦能力、情報戦能力、対宇宙作戦能力

「地域的核抑止」戦略

対衛星攻撃(ASAT)

 

エスカレーション抑止」

限定的な核攻撃

長距離PGMを用いた「警告射撃」

戦闘停止の強要、第三国の介入を抑止

 

 

ウクライナ危機を見る複数の眼<アフリカ>(2022.4.7)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。

 

ロシアへの非難声明

ケニア、ガーナ、ナイジェリア

アフリカ連合(AU) 2022.2.24

 

3/2国連総会

アフリカ諸国の対応が別れる

  • ロシアとの関係強化

エリトリア 反対

 

ロシアのアフリカ関与の強まり

冷戦崩壊後、アフリカへの関与不十分

2006プーチンアフリカ歴訪 アルジェリア、モロッコ、エジプト、南アフリカ

2009プーチンアフリカ歴訪 エジプト、アンゴラナミビア、ナイジェリア

  • 経済権益を見出す ビジネスマンが400人ほど同行

近年、安全保障の観点からアフリカ関与が強まっている

2019年10月初のロシア・アフリカサミット@ソチ

  • アフリカ43ヵ国の首相が参加
  • ロシアの関与の強化

 

近年、安全保障の観点からアフリカ関与が強まっている

国内体制に文句を言わず力を貸してくれる貴重な存在

 

アフリカ・メディア

親露政権では国内の情報統制・ロシアのプロパガンダ

  • ロシア・トゥデイ、スプートニック

それ以外の国ではヨーロッパと同じ

市井の人々の認識はよくわからない 

  • 要検証 SNSは情報の海

ウクライナからポーランドに避難したアフリカ系の留学生が差別されているという報道

ウクライナ・ロシアには多数のアフリカ系留学生がいる

植民地経験により主権の尊重などの国際原則は重要

  • 中央権力がなくても力で現状変更しない ソマリア

無政府状態でも無秩序ではないアフリカの奥深さ

 

アフリカを見るときの情報の取り方

食糧問題の影響が懸念される

アフリカの研究所のレポート

  • 研究者向け

アフリカ開発会議TICAD


 

 

 

 

ウクライナ危機を見る複数の目〈中国〉(2022/4/13)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。

 

中国外交の原則

  • 国家目標:2049年中華人民共和国成立100周年)にアメリカに追いつき追い越す
    • GDPは2030年代に追いつく
    • 長い米中対立の中でロシアは重要なパートナー
  • 国連、国際法への一定の支持
    • 主権の尊重、領土の完全性という国際原則は否定しない 
    • 中国なりの解釈・修正をする
  • 米国中心の安全保障ネットワークは否定
    • NATO東方拡大という立場はロシアと一致する
  • 同盟国を持たない独立自主外交
    • 全てパートナーシップ
    • ロシアは同盟国にはならないが最重要のパートナー国
  • 中露vs西側という構図は避けたい
    • 西側と相互依存する経済
    • 競争と協調の中で発展を続けたい
    • ヨーロッパの自律的な外交を支持する
  • 「発展途上大国」
    • 発展途上国の代表という意識
    • 先進国中心のルールを変えたい
  • ウクライナとの良好な関係

米国との長期的な対立の中でロシアは重要なパートナーだが、運命共同体にはならない

新冷戦の構図を避けるため西側諸国にも開発途上国にもできるだけ支持をしてもらいたい

「八方美人外交」

秋の第20回党大会

  • 習近平の任期延長・当主席への就任が懸かっている
    • 異例中の異例の人事
  • とにかく失敗はできない
    • リスクを避ける

中国国内の報道

  • ニュースは全て共産党宣伝部が作る
    • ニュース=国内向けの宣伝
    • ロシア支持が基本
      • 「侵攻」という言葉は使われない、ロシアは何度も警告をしている、ウクライナが警告を無視している、ゼレンスキーがプーチンのメンツを潰した
      • 大国の言うことは尊重されなければならない
    • ブチャの残虐行為は報道されている
      • プーチン政権と距離を取るための世論づくり?
    • 侵攻の開始から徐々にロシア寄りから中立
    • 中国語のみの言論空間と他言語を含む言論空間の乖離 一定の多様性がある
      • 大部分の人民は中国語のみ=宣伝部の影響が濃い
      • 一部の知識人はプーチン批判の声明を発表している
        • 厳しい言論統制の中、自分の身を危険に晒している

東アジアへのインパク

  • 中国の経済力の大きさ
    • 中国を貿易相手のTOP3に持つ国は世界の9割以上
  • 台湾問題との関わり
    • ウクライナ主権国家だが台湾は国内問題
    • ウクライナ危機に乗じて台湾に侵攻する
    • 台湾侵攻の能力は高めている
      • 西側からのミサイル攻撃+東側からの上陸作戦
    • 2019年から台湾に関する言葉のレベルは抑えている
    • 直接の軍事侵攻ではなく、情報戦を中心とした間接的な浸透が理想
      • 2014年クリミア型の侵攻を目指している
      • 戦わずして降伏させる
      • 台湾の意志を挫くために武力の増強を行なっている
    • ウクライナの現状
      • ロシア軍の苦戦→安易な軍事侵攻はできない
      • 西側の経済制裁の効果を観察している
      • NATOEUウクライナの加盟のハードルを下げている→緊張が高まった際に台湾の国家承認という可能性がある

日本の立場

  • 中露双方の隣国
    • 冷戦時との違い
      • 中露双方が軍事大国
      • 中ソ対立の可能性は低い

中国の長期的な対露外交

  • ロシアは乗り越えるべき存在
  • ロシアを怒らせないように勢力圏へ徐々に浸透していく

厄介な先輩の機嫌をとりながら上手に引退させる

ウクライナ危機を見る複数の眼<中東>(2022/4/6)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。

 

中東主要国の色分けとウクライナ侵攻避難決議の投票

  • 主要な親米勢力
  • 主要な 反米・親露勢力
    • イラン 棄権
    • イラク 棄権
      • 親米陣営、反米陣営の草刈り場
    • シリア 反対
      • ロシアに支えられている政権

中東はアメリカ一極集中から多極世界へ移行している

  • アメリカのプレゼンスの低下、イランの影響力の増大

多極世界に対応するためのダイナミックな変動が見られる

  • 親米陣営は中立化によって国益の確保を図る
    • イランへの歩み寄り
    • イスラエルと湾岸産油国の関係改善
    • 域外大国(中露)との協力
      • ロシアの力が落ちるとイランの影響力が大きくなってしまうため望ましくない
      • アメリカに批判されても中国との関係は維持する

 

中東のメディア

 

小泉悠×池内恵×千々和泰明「戦争の終わらせ方」 #国際政治ch 119(2022/4/23)

※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。

  •  「将来の危険」と「現在の犠牲」のジレンマ
  • 優勢勢力の主観的判断 心理戦的な側面 
    • 戦況の変化が交渉に反映される 「戦場からテーブルへ
  • 劣勢勢力にできること 抵抗するor屈服する
    • 相手の「現在の犠牲」を大きくする 抵抗する
      • 徹底抗戦を行い、将来の犠牲の予測を大きくする(硫黄島の戦い)
        • 自らの犠牲も多くなる 損害受忍度の高さが必要
      • 三者の介入(軍事支援、経済制裁)により継戦能力を見せる
    • 相手の停戦条件を飲む(早期降伏論) 屈服する
      • 戦闘による現在の犠牲を少なく抑えることができる
        • 第二次世界大戦の時の日本の経験「なぜもっと早く戦争を終わらせることができなかったのか」
      • 将来の危険が大きくなる可能性がある
        • 目の前の戦争が終わっても国家間の関係は今後も継続する
        • 恐喝をしてくる相手に一度応じると二度目、三度目がある(闇金ウシジマくん
        • 平和の回復にとって重要なのは戦争の早期終結ではなく、戦争終結の条件である
        • 国際秩序全体に与える影響も考えなければならない
          • 「われわれは、平和を維持し専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努める国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(日本国憲法前文
  • ウクライナ情勢に適応すると
    • 「将来の危険」(ロシア視点)
    • 「現在の犠牲」(ロシア視点)
    •  紛争原因の根本的解決(ロシア視点)
    • 中間  イメージ:1940年独仏休戦、冬戦争
      • ゼレンスキー政権の存続、NATO非加盟、軍備制限
      • 領土問題の棚上げ
    • 妥協的和平(ロシア視点)
    • 核兵器の使用
      • ロシアにとって有利な状況を作り出すか分からない
        • 過去の事例はなく、どこまでエスカレートするか分からない
        • NATOの直接介入を招く恐れがある

 

  • 権威主義体制の有利な点、不利な点
    • メディア・コントロール
      • 「現在の犠牲」を国民に少なく見せる
        • 戦争の継続が可能
        • 一方でロシアにとって満足のいかない結果を隠すことも可能?
          • 独裁者こそ弱腰外交が可能
    • プーチンにとっての「現在の犠牲」≠国民にとっての「現在の犠牲」
      • プーチンにとっての現在の犠牲=プーチン政権の崩壊
      • 国民の多くがプーチン政権を支持していることも事実
      • オリガルヒーとの関係性の悪化?

 

  • 戦争の抑止→遂行→終結の全体を研究することが重要

 

 

  • 有料部分の見どころ ぜひ会員登録を!
    • ウクライナ情勢の今後
    • ロシアでクーデターは起きるのか?
    • 5月9日戦勝記念パレード
      • 軍事的に無意味な数字が政治的な意味を持ち戦争終結の形を歪める可能性
    • 防衛3文書(国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画)の改定
      • 実務家としての経験が活かされた千々和さんの話に池内さんご満悦
      • 3文書の成立経緯
        • そもそも防衛大綱はなぜ出来たか デタント時代の予算獲得
          • 大学でも起こった「大綱化」by池内さん
        • 基盤的防衛力構想・脱脅威論とは何か
      • 戦争終結の視点から見る専守防衛の不合理性
    • NSCの成り立ち
      • 警察色がある
        • 国防と重大緊急事態の審議
      • 4大臣会合と閣議の関係性
        • 首相のリーダーシップが不可欠
    • エネルギー安全保障の視点を国家安全保障戦略へ by池内さん

参考文献

関連動

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おすすめチャンネルまとめ

素人ですので「これが無いのはおかしい」とかあると思いますが、ご容赦ください。適宜追加していきたいと思います。

〈お気に入り〉

  • 国際政治チャンネル

篠田英朗さん、細谷雄一さん、池内恵さんを中心に信頼できる専門家を呼び議論をする。リラックスした雰囲気で研究者の素顔が垣間見える。有料部分も必見。

 

  • ROLES

創発戦略研究オープンラボ(ROLES)

池内恵さんが主導して設立した東大内シンクタンク。瞬発力のある動画と専門的なレポートが配信されている。

 

  • 篠田英朗

篠田英朗HP

 

 

  • 小泉悠

 

〈外交シンクタンク

 

  • 日本国際プラットフォーム

 

  • アジア・パシフィック・イニシアティブ

鈴木一人さんがホストを務める地経学オンラインサロンが公開されている。

 

 

 

 

 

 

 

  • フォーリン・プレスセンター

 

〈大学関連〉

トップページ | UTokyo TV

 

慶応の国際政治学者充実しすぎ問題。

 

 

 

〈その他〉

※国際政治に関係ないものも含みます。

日本記者クラブ

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〈読み物〉