国際政治のマクロ分析
学会的な研究=ミクロ分析
小さな範囲に対象を限定する
精緻な仮説を提示する
新しい概念枠組みや因果関係を発見すると評価される
「ムービング・ターゲットを追うな」
学会で成功するための秘訣
論文にしやすい対象が分析される 「死体」を撃っている状態
活力が失われる、社会的意義が薄くなる
多くの人が関心を持つのは「ムービング・ターゲット」
シンクタンク、政策研究
「デリバレイティブ・プランニング」より「アダプティング・プランニング」が大事
変化する目標に対して適切な道具を用いて分析する
「当たらないかもしれないから、撃たない」では仕事にならない
フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』
冷戦崩壊→アメリカ単独覇権、リベラル・デモクラシーの拡大
民族・宗教に根ざした対立→地域紛争
G・ジョン・アイケンベリー
リベラルな多国間主義、国際協調
イアン・ブレマー
覇権なき世界秩序
ソフト・パワーによるアメリカの覇権の維持
ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン
成長の限界←収奪的な政治制度/包括的な政治制度→経済発展
ウォルター・ラッセル・ミード『神と黄金』
覇権国(アングロサクソン)の信念
海洋国家による海洋覇権→グローバルな資本主義、民主的な資本主義
イギリス:老いたる「賢人」としての忠告
ポール・ケネディ『大国の興亡』
ニアル・ファーガソン『帝国』『文明』
フランス:アングロサクソンとは異なる近代の推進者としての自負
エマニュエル・トッド『帝国以後』
トマ・ピケティ『21世紀の資本』
非西欧
ファリード・ザカリア『アメリカ後の世界』
『現代ロシアの軍事戦略』小泉悠 ざっくりまとめ
軍事戦略の読み解き方
軍事行動=思想×能力
ロシアの情勢認識
ロシアの「勢力圏」の縮小
- 第一次東方拡大(1999年:チェコ、ハンガリー、ポーランド)
- 第二次東方拡大(2004年:バルト三国、ブルガリア、ルーマニア、スロヴァキア、スロベニア)※この頃のプーチン政権は米国との協力路線で国力と国際的地位の回復を目指していた
- 2009年:アルバニア、クロアチア 2017年:モンテネグロ 2020年:北マケドニア
- 西側の意図
- ロシアの認識
- 冷戦崩壊→ロシアの「戦略縦深」を失う
- NATOの拡大はロシアにとって「国家安全保障上の脅威」
経済力、技術力、軍事力の劣勢
ロシアの情勢認識の基礎概念
ロシアは「大国」であり「勢力圏」を持つべきだが、別の「大国(アメリカ、NATO)」が「プロシキ(民主化運動、テロ組織)」を用いてロシアの「勢力圏」の拡大を妨害きてくる。現在は軍事上劣勢のため「ハイブリッド戦争」「限定行動戦略」「損害限定戦略」「エスカレーション抑止」等の全面戦争にならない手段で対応しなければならない。
「勢力圏」 『「帝国」ロシアの地政学』小泉悠
東欧や旧ソ連諸国にはロシアが政治的影響力を発揮しなければならない
ロシアに都合の悪いことはさせない「消極的な勢力圏」
「大国(デルジャーヴァ)」
他国の作る秩序に従うのではなく、自らの秩序を作り出すことのできる国
「限定行動戦略」
ウクライナ、シリアへの介入
軍事的手段が中心、大規模な戦争にならない
大国間戦争に収斂する「対テロ戦争」
テロ組織=大国の「手先(プロキシ)」 代理戦争論
テロ組織との戦い→背後にいる大国との大規模戦争にエスカレートしうる
巡航ミサイル、精密誘導兵器、核兵器などテロ組織が保有していないであろう武器への対応が想定される
「損害限定」戦略
あらゆる手段で敵の戦力発揮を妨害する
重層化された防空アセット、短距離・中距離・長距離の火力、電子戦能力、情報戦能力、対宇宙作戦能力
「地域的核抑止」戦略
対衛星攻撃(ASAT)
「エスカレーション抑止」
限定的な核攻撃
長距離PGMを用いた「警告射撃」
戦闘停止の強要、第三国の介入を抑止
ウクライナ危機を見る複数の眼<アフリカ>(2022.4.7)
※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。
ロシアへの非難声明
ケニア、ガーナ、ナイジェリア
3/2国連総会
アフリカ諸国の対応が別れる
- ロシアとの関係強化
エリトリア 反対
- 「アフリカの北朝鮮」 想定内
ロシアのアフリカ関与の強まり
冷戦崩壊後、アフリカへの関与不十分
2006プーチンアフリカ歴訪 アルジェリア、モロッコ、エジプト、南アフリカ
2009プーチンアフリカ歴訪 エジプト、アンゴラ、ナミビア、ナイジェリア
- 経済権益を見出す ビジネスマンが400人ほど同行
近年、安全保障の観点からアフリカ関与が強まっている
2019年10月初のロシア・アフリカサミット@ソチ
- アフリカ43ヵ国の首相が参加
- ロシアの関与の強化
近年、安全保障の観点からアフリカ関与が強まっている
国内体制に文句を言わず力を貸してくれる貴重な存在
アフリカ・メディア
親露政権では国内の情報統制・ロシアのプロパガンダ
- ロシア・トゥデイ、スプートニック
それ以外の国ではヨーロッパと同じ
市井の人々の認識はよくわからない
- 要検証 SNSは情報の海
ウクライナからポーランドに避難したアフリカ系の留学生が差別されているという報道
ウクライナ・ロシアには多数のアフリカ系留学生がいる
植民地経験により主権の尊重などの国際原則は重要
- 中央権力がなくても力で現状変更しない ソマリア
無政府状態でも無秩序ではないアフリカの奥深さ
アフリカを見るときの情報の取り方
食糧問題の影響が懸念される
アフリカの研究所のレポート
- 研究者向け
ウクライナ危機を見る複数の目〈中国〉(2022/4/13)
※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。
中国外交の原則
- 国家目標:2049年(中華人民共和国成立100周年)にアメリカに追いつき追い越す
- GDPは2030年代に追いつく
- 長い米中対立の中でロシアは重要なパートナー
- 国連、国際法への一定の支持
- 主権の尊重、領土の完全性という国際原則は否定しない
- 中国なりの解釈・修正をする
- 米国中心の安全保障ネットワークは否定
- 反NATO東方拡大という立場はロシアと一致する
- 同盟国を持たない独立自主外交
- 全てパートナーシップ
- ロシアは同盟国にはならないが最重要のパートナー国
- 中露vs西側という構図は避けたい
- 西側と相互依存する経済
- 競争と協調の中で発展を続けたい
- ヨーロッパの自律的な外交を支持する
- 「発展途上大国」
- 発展途上国の代表という意識
- 先進国中心のルールを変えたい
- ウクライナとの良好な関係
米国との長期的な対立の中でロシアは重要なパートナーだが、運命共同体にはならない
新冷戦の構図を避けるため西側諸国にも開発途上国にもできるだけ支持をしてもらいたい
「八方美人外交」
秋の第20回党大会
- 習近平の任期延長・当主席への就任が懸かっている
- 異例中の異例の人事
- とにかく失敗はできない
- リスクを避ける
中国国内の報道
- ニュースは全て共産党宣伝部が作る
東アジアへのインパクト
- 中国の経済力の大きさ
- 中国を貿易相手のTOP3に持つ国は世界の9割以上
- 台湾問題との関わり
日本の立場
- 中露双方の隣国
- 冷戦時との違い
- 中露双方が軍事大国
- 中ソ対立の可能性は低い
- 冷戦時との違い
中国の長期的な対露外交
- ロシアは乗り越えるべき存在
- ロシアを怒らせないように勢力圏へ徐々に浸透していく
厄介な先輩の機嫌をとりながら上手に引退させる
小泉悠×池内恵×千々和泰明「戦争の終わらせ方」 #国際政治ch 119(2022/4/23)
※私個人の見解が入っています。正確な専門家の意見を知りたい場合は動画の視聴、著作の購入をオススメします。
- 「将来の危険」と「現在の犠牲」のジレンマ
- 「将来の危険」を重要視→紛争原因の根本的解決
- 「現在の犠牲」を重要視→妥協的和平
- 優勢勢力の主観的判断 心理戦的な側面
- 戦況の変化が交渉に反映される 「戦場からテーブルへ」
- 劣勢勢力にできること 抵抗するor屈服する
- 相手の「現在の犠牲」を大きくする 抵抗する
- 相手の停戦条件を飲む(早期降伏論) 屈服する
- ウクライナ情勢に適応すると
- 権威主義体制の有利な点、不利な点
- 戦争の抑止→遂行→終結の全体を研究することが重要
- 防衛研究所
- 有料部分の見どころ ぜひ会員登録を!
- ウクライナ情勢の今後
- ロシアでクーデターは起きるのか?
- 5月9日戦勝記念パレード
- 軍事的に無意味な数字が政治的な意味を持ち戦争終結の形を歪める可能性
- 防衛3文書(国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画)の改定
- 実務家としての経験が活かされた千々和さんの話に池内さんご満悦
- 3文書の成立経緯
- そもそも防衛大綱はなぜ出来たか デタント時代の予算獲得
- 大学でも起こった「大綱化」by池内さん
- 基盤的防衛力構想・脱脅威論とは何か
- そもそも防衛大綱はなぜ出来たか デタント時代の予算獲得
- 戦争終結の視点から見る専守防衛の不合理性
- ゲリラ戦思想家(毛沢東、ヴォー・グエン・ザップ)の洞察
- NSCの成り立ち
- 警察色がある
- 国防と重大緊急事態の審議
- 4大臣会合と閣議の関係性
- 首相のリーダーシップが不可欠
- 警察色がある
- エネルギー安全保障の視点を国家安全保障戦略へ by池内さん
参考文献
関連動
おすすめチャンネルまとめ
素人ですので「これが無いのはおかしい」とかあると思いますが、ご容赦ください。適宜追加していきたいと思います。
〈お気に入り〉
- 国際政治チャンネル
篠田英朗さん、細谷雄一さん、池内恵さんを中心に信頼できる専門家を呼び議論をする。リラックスした雰囲気で研究者の素顔が垣間見える。有料部分も必見。
- ROLES
池内恵さんが主導して設立した東大内シンクタンク。瞬発力のある動画と専門的なレポートが配信されている。
- 篠田英朗
- 小泉悠
〈外交シンクタンク〉
- 日本国際プラットフォーム
- アジア・パシフィック・イニシアティブ
鈴木一人さんがホストを務める地経学オンラインサロンが公開されている。
- 東京財団政策研究所
- 国際経済連携推進センター
- フォーリン・プレスセンター
〈大学関連〉
- 慶応義塾大学
慶応の国際政治学者充実しすぎ問題。
〈その他〉
※国際政治に関係ないものも含みます。
日本記者クラブ
jnpc - YouTubehttps://www.youtube.com/user/jnpc
まなびと夜間塾おすすめです。
〈読み物〉